2012年01月18日

1/11欧米文化学科特別講演「夢とヨーロッパ文明」報告

2012年1月11日(水)11:00〜12:30、チャペルにて、欧米文化学科主催の特別講演会「夢とヨーロッパ文明――中世ヨーロッパ世界における夢の意味」が開催されました。講師は、早稲田大学文学学術院教授の甚野尚志先生で、中世ヨーロッパ史をご専門とされています。当日は、学生のほか、一般の方々の参加も多く、いまこの時代における「夢」に対する想いの強さが感じられました。

講演では、中世ヨーロッパ世界において、「夢」というものがどのような位置づけにあったのか、また、夢の解釈の背後にはどのような歴史的伝統があったのか、スライドも交えながら、歴史学的な専門性をもった話がなされました。

中世ヨーロッパの民衆の信仰にとって、夢を見ることは、「幻視」としての意味があり、その夢のなかで「生者と死者の共同体」が形成され、重要な意味を持っていたそうです。夢で死者と出会うことに、大きなリアリティが感じられていたのです。

また、一方で、古代異教世界とキリスト教的伝統の影響から、民間での夢判断も流行しており、手引書『ダニエルの書』の多くの写本が残ってもいたそうです。こうして、ヨーロッパ文明においては、人間の心理現象への分析は夢の分析から始まったといえ、現代の精神分析学をはじめとして、こうした精神史がヨーロッパに与えた影響は大きなものがあるとのことです。

講演終了後の質疑においては、「解釈される夢」としてではなく、「実現すべき将来」という意味合いとしての夢の位置づけはヨーロッパ中世にはなかったのか、また、それが出てきたのはいつ頃なのか、といった興味深い質問もフロアからなされ、ヨーロッパ史の深みの感じられる場となりました。
posted by webmaster at 19:09| アセンブリアワー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする